【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

遺言は絶対じゃないけど絶対である

相続税専門税理士の富山です。

今回は、遺言があった場合の相続税申告について、お話します。


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遺留分を請求されたら持ち出しが発生する

要件を満たした遺言があれば、その遺言は法的に有効となり、その遺言どおりに遺産分けをすることができます。

相続人が長男A・次男Bの2人だとします。

全財産を長男Aに相続させる、という遺言だった場合、長男Aは全財産を相続することができます。

しかし、次男Bには「遺留分」という(一定の)相続人に認められている「最低限の財産の取り分」があります。

次男Bが遺留分を請求(「遺留分侵害額の請求」を)すると、長男Aは次男Bに遺留分(この場合には1/4)相当の金銭を支払わなければなりません。

長男Aは、財産自体は全部相続できますが、自分のお金を切り崩して(相続財産の中から支払ってもいいですが)次男Bに全財産の1/4相当のお金を支払うことになりますから、実質的には3/4の財産しか相続できない、ということになります。

遺留分侵害額の請求があっても無視して申告する

長男Aが全財産を相続する、という内容で相続税の申告をしようとしたところ、次男Bから遺留分侵害額の請求をされたとします。

この場合、長男Aは実質的に全財産の3/4相当しか相続できなくなるので、その3/4相当に対する相続税を納めればいいのかというと、そうではありません。

遺留分侵害額の請求があっても、相続人間の話し合いがまとまっていなければ、次男Bに遺留分相当のお金を支払うと正式に決まったワケではありません。

話し合いがまとまらなければ、家庭裁判所で調停をすることもあります。

このような場合には、申告は遺言どおりにして、その後、正式に遺留分についての話が決着したら、その時点で申告をやり直します(「更正の請求」をすることができます)。

つまり、2段階で申告することになるのです。

遺言無効確認訴訟があった場合も同様

長男Aが相続税の申告をしようとしたら、次男Bから遺言無効確認訴訟が提起された、という場合も同様です。

長男Aは遺言が有効なモノとして申告し、もし、無効であるという結果になった場合には、その時点で申告をやり直します(「更正の請求」をすることができます)。

下記の記事もご覧ください。

遺言無効確認訴訟が提起されている場合の配偶者の税額軽減

やり直しには4ヶ月以内という期限がある

上記の申告のやり直し(「更正の請求」)には、「4ヶ月以内」という期限があります。

裁判所での手続きの方に気を取られて、税務署への手続きを忘れることのないよう、ご注意を。

想う相続税理士

次男Bは、遺留分についての話し合いがまとまったり、遺言が無効であるということになった場合には、期限後申告をする必要がありますので、ご注意を。