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遺産分けが決まらない場合の同族会社株式の議決権

相続税専門税理士の富山です。

今回は、遺産分けが決まらない場合の同族会社株式の議決権について、お話します。

遺産分けが決まるまで相続財産は誰のモノ?

相続財産は、遺産分けが決まるまでは、相続人全員の共有財産という取扱いになります。

(共同相続の効力)
第八百九十八条 相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する。

亡くなった方が会社を経営していて、相続財産の中にその会社の株式(同族会社株式)がある場合、その株式も共有状態ということになります。

株主には議決権があります。

議決権とは、株主総会における議案に対して賛成・反対の意思表示をすることができる権利です。

つまり、株主は(株式を持っていると)、会社の経営に対して影響力を持つことができるのです。

それでは、共有となっている株式の議決権はどうなるのでしょうか?

議決権を行使するためには一人に決める必要がある

会社法(一部抜粋)
(共有者による権利の行使)
第百六条 株式が二以上の者の共有に属するときは、共有者は、当該株式についての権利を行使する者一人を定め、株式会社に対し、その者の氏名又は名称を通知しなければ、当該株式についての権利を行使することができない。ただし、株式会社が当該権利を行使することに同意した場合は、この限りでない。

相続人の方が複数いても、議決権を行使する人は一人になります(一人に定めます)。

誰を「議決権を行使する人」にするかについては、持分の過半数の同意により決定されるものと考えられています。

最高裁判例(一部抜粋)
平成5(オ)1939  社員総会決議不存在確認
平成9年1月28日  最高裁判所第三小法廷  判決  棄却  東京高等裁判所
持分の準共有者間において権利行使者を定めるに当たっては、持分の価格に従いその過半数をもってこれを決することができるものと解するのが相当である

民法(一部抜粋)
(共有物の管理)
第二百五十二条 共有物の管理に関する事項は、前条の場合を除き、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。

上記の会社法の条文のただし書きは、会社が勝手に「議決権を行使する人」を決められる、という意味ではありません。

想う相続税理士秘書

専務であっても関係ない

相続人が長男・長女・次女の3人の場合、各相続人の持分は3分の1ずつで同じです。

「議決権を行使する人」を誰にするかについて、長女と次女が「長女にする」ことに賛成したら、二人の持分の合計は3分の2で過半数となるため、「議決権を行使する人」は長女になります。

こうなると、亡くなった方が同族会社の株式を100%所有していた場合、いままで長男が専務として会社の経営に参画していたとしても、長女が100%株主として会社の経営に対して強い影響力を持つことになります。

想う相続税理士

その同族会社株式を相続財産として評価する場合の、各相続人に適用されるべき評価方式の判定の基礎となる「株式取得後の議決権の数」については、全く異なる方法で計算します(「各相続人ごとに、所有する株式数にその未分割の株式数の全部を加算した数に応じた議決権数」になります)ので、ご注意を。