【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

相続の順番に注意!妻が夫より先に死亡した場合

相続税専門税理士の富山です。

夫が妻より先にお亡くなりになるとは限りません。

今回は、夫が先に亡くなる前提で生命保険に加入していた場合に、妻が先に亡くなった場合の課税リスクについて、お話します。

こちらの記事もご覧ください。

想う相続税理士秘書

相続の順番に注意!相続時精算課税に係る受贈者が先に死亡した場合

相続税専門税理士に任せてスッキリ!
相続税専門税理士が直接対応
事前予約で土日祝日夜間対応可能
明確な料金体系+スピード対応
大手生命保険会社様で相続税・贈与税に関するセミナー講師の実績有(最近の実績:令和5年11月・令和5年12月・令和6年2月)

または はこちらから


一般的な相続税対策としての生命保険契約への加入方法

夫に多額の財産があり、その夫の相続税対策をするという場合、夫が自分(夫)に生命保険をかける、つまり、

保険料負担者
被保険者
死亡保険金受取人

というような内容の生命保険契約に加入することが多いものと思われます。

この場合、子が受け取る死亡保険金には、
500万円×法定相続人の数
の非課税枠があります(相続税の節税につながります)。

夫・妻・長男の3人家族の場合、夫に相続が発生すると、法定相続人は妻・長男の2人ですから、
500万円×2人=1,000万円
の死亡保険金の非課税枠がある、ということになります。

夫が妻を被保険者として生命保険契約に加入する

夫に多額の財産があるということは、その夫の相続において妻がその多額の財産を相続することも考えられ、その妻の相続(二次相続)に係る相続税対策も検討しておく必要があります。

生命保険を活用する場合、一次相続後、つまり、妻が夫の財産を相続した後では、妻の健康状態や意思能力等によっては、妻が保険に加入できない可能性があることに留意しなければなりません。

そこで、一次相続前、つまり、夫が亡くなる前に妻の相続(二次相続)の相続税対策をしておくことも検討する必要があります。

しかし、夫に多額の財産があっても妻に財産がない場合には、妻が保険に加入しようとしても、保険料を負担できず、保険に加入できないケースも考えられます。

このような場合、夫のお金で妻の生命保険契約に加入する、つまり、

保険料負担者
被保険者
死亡保険金受取人

というような内容の生命保険契約に加入するのも手です。

夫が死亡した場合(妻が死亡していない場合)、この生命保険契約からは死亡保険金は支払われません。

夫が死亡して死亡保険金が支払われるのは、被保険者が夫の生命保険契約です。

死亡保険金が支払われないから、この生命保険契約は夫の相続税の申告に何も関係ないかというと、実は関係あります。

夫が保険料を払い込んだこの生命保険契約自体に財産的価値があります。

解約すればお金になる(解約返戻金を受け取れる)からです。

ですから、夫の相続税申告の際には、「生命保険契約に関する権利」として解約返戻金相当額でその生命保険契約を財産計上する必要があります。

被保険者である妻が死亡した場合の課税2パターン

夫の相続の際、上記の生命保険契約に関する権利を妻が相続したパターンだと、その後、妻の相続が発生した場合、今度は死亡保険金が支払われます。

被保険者が妻だからです。

この死亡保険金は相続税の課税対象となりますが、先ほどお話した
500万円×法定相続人の数
の非課税枠が適用できます。

夫の相続の際、この生命保険契約に関する権利を子が相続したパターンだとどうなるでしょうか?

妻の相続が発生した場合、死亡保険金が支払われるのは同じですが、この死亡保険金は相続税の課税対象ではなく、所得税の課税対象となります。

ただし、一時所得として課税されるため、50万円特別控除・1/2課税の恩恵を受けられるため、税負担を軽減できます。

いずれにしろ、子が受け取った死亡保険金を相続税の納税対策等に活用することができます。

夫よりも妻が先に亡くなったら?

上記の今までのお話は、夫(一次相続)→妻(二次相続)の順に相続が発生した場合のものです。

もし、上記の内容の生命保険契約に加入し、夫が死亡する前に妻が死亡したらどうなるでしょうか?

被保険者である妻が死亡したので、死亡保険金が支払われます。

誰に支払われるかというと、死亡保険金受取人の子です。

保険料を負担したのは夫(ご存命の方)ですから、この死亡保険金の受取りは、妻の死亡を起因とする夫から子への贈与に該当し、子に贈与税が課税されます。

想う相続税理士

妻が先に亡くなった場合の課税リスクにも、ご留意を。