【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

相続税申告における種類株式の評価方法

相続税専門税理士の富山です。

今回は、亡くなった方が種類株式をお持ちだった場合における、その種類株式の評価方法について、お話します。


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種類株式とは?

一般的な株式(「普通株式」)に与えられる権利(議決権・利益配当請求権・残余財産分配請求権等)は同じ(平等)です。

この権利について、普通株式と異なる内容を会社の定款により付すことができます。

そのような株式を「種類株式」と言います。

種類株式は、普通株式とは異なる特別な株式です。

種類株式の種類

種類株式については、会社法第百八条(異なる種類の株式)に規定されています。

  1. 優先配当(劣後も可)・・・剰余金の配当において、配当額や配当順序を差別化することができる
  2. 優先残余財産分配(劣後も可)・・・残余財産の分配において、分配額や分配順序を差別化することができる
  3. 議決権の制限・・・株主総会で議決権を行使することができる事項を制限することができる
  4. 譲渡制限・・・株式を譲渡する際、会社の承認を要件とすることができる
  5. 取得請求権・・・株主が会社に対して種類株式の取得(転換)を請求することができる
  6. 取得条項・・・一定の事由の発生を条件に、会社が株主から種類株式を取得することができる
  7. 全部取得条項・・・会社が株主総会の決議により当該種類株式全てを取得することができる
  8. 拒否権・・・株主総会や取締役会で決議すべき事項について、種類株主総会の決議を要件とすることができる
  9. 役員選任権・・・種類株主総会で取締役・監査役を選任できる

このうち、「配当優先の無議決権株式」「拒否権付株式」の評価について、お話します。

配当優先の無議決権株式

配当優先の株式の評価

※同族株主が相続で取得した配当(資本金等の額の減少に伴うものを除く)優先の株式の評価

類似業種比準方式により評価する場合

財産評価基本通達183(評価会社の1株当たりの配当金額等の計算)の(1)に定める「1株当たりの配当金額」については、株式の種類ごとに計算して評価

純資産価額方式により評価する場合

配当優先の有無にかかわらず、財産評価基本通達185(純資産価額)の定めにより評価

無議決権株式の評価

無議決権株式は、原則として、議決権の有無を考慮せずに評価

ただし、同族株主が無議決権株式を相続で取得した場合には、次のすべての条件を満たす場合に限り、上記「配当優先の株式の評価」または原則的評価方式により評価した価額から、その価額に5パーセントを乗じて計算した金額を控除した金額により評価するとともに、その控除した金額をその相続で同族株主が取得したその会社の議決権のある株式の価額に加算して申告することを選択することができる(「調整計算」

この場合の具体的な計算は、次の算式のとおりです。

想う相続税理士秘書

条件

その会社の株式について、相続税の法定申告期限までに、遺産分割協議が確定していること

その相続でその会社の株式を取得したすべての同族株主から、相続税の法定申告期限までに、その相続で同族株主が取得した無議決権株式の価額について、調整計算前のその株式の評価額からその価額に5パーセントを乗じて計算した金額を控除した金額により評価するとともに、その控除した金額をその相続で同族株主が取得したその会社の議決権のある株式の価額に加算して申告することについての届出書が所轄税務署長に提出されていること

※無議決権株式を相続で取得した同族株主間及び議決権のある株式を相続で取得した同族株主間では、それぞれの株式の1株当たりの評価額は同一となる

その相続税の申告に当たり、「取引相場のない株式(出資)の評価明細書」に、次の算式に基づく無議決権株式及び議決権のある株式の評価額の算定根拠を適宜の様式に記載し、添付していること

算式

無議決権株式の評価額(単価)=A×0.95
議決権のある株式への加算額={A×無議決権株式の株式総数(注1)×0.05}=X
議決権のある株式の評価額(単価)={B×議決権のある株式の株式総数(注1)+X}÷議決権のある株式の株式総数(注1)

A・・・調整計画前の無議決権株式の1株当たりの評価額
B・・・調整計画前の議決権のある株式の1株当たりの評価額
(注1)「株式総数」は、同族株主がその相続で取得したその株式の総数(配当還元方式により評価する株式を除く)

拒否権付株式

拒否権付株式(会社法第108条第1項第8号に掲げる株式)については、拒否権を考慮せずに評価

想う相続税理士

中小企業の事業承継においても、種類株式の活用が想定されます。