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遺言の有無は生前贈与財産の取扱いにも影響する!

想う相続税理士、富山です。

今回は、遺留分算定基礎財産に関する民法改正について、お話します。

多くの相続では遺産分割協議により遺産分けをしている

相続があり、その亡くなった方が遺言を書いていなかった場合には、その方の相続人は、その亡くなった方の相続財産について、話し合って遺産分けを決めます(これを「遺産分割協議」と言います)。

この遺産分割協議が整った証として「遺産分割協議書」を作成するのですが、これには全員の実印が押印されている必要があります。

つまり、遺産分けについて誰か一人でも反対した場合(判子を押さない場合)には、その遺産分けは成立しない、ということになります。

遺産分けがまとまらず、家庭裁判所の調停などの手続きに進んだ場合は、基本的には「法定相続分」で遺産を分けることになります。

100%遺言どおりに遺産分けできない場合もあるが・・・

遺言があった場合には、基本的には、その遺言に記載された内容のとおりに遺産分けを行います。

ただし、相続人に認められた最低限の遺産の取り分(「遺留分」)というモノがあり、取得する財産が遺留分に満たない相続人がいる場合には、その相続人は、他の相続人に対して、金銭によってその少ない分の財産を請求することができます(これを「遺留分の侵害額請求」と言います)。

つまり、各相続人は遺留分相当の財産(お金)を必ず取得(請求)することができますので、誰か1人に全財産をあげる、というような遺産分けはできない場合がある、ということになります。

とはいえ、遺言がなくて話し合いがまとまらないと「法定相続分」での遺産分けになるのにくらべ、遺言があれば各相続人が取得する財産に大きな差を付けることができるのは事実です。

相続人の組み合わせによっては、遺留分がない相続人も登場します。

この場合、その相続人には全く財産をあげない、という遺産分けが可能となります。

想う相続税理士秘書

しかし、遺言の効果は、それだけにとどまりません。

遺言があると生前贈与の取扱いが変わる!

あなたともう一人の相続人がいて、その相続人の遺留分が1/4だとすると、その相続人は、全財産(遺留分算定基礎財産)の1/4を取得(請求)することができる、ということになります。

この場合の「『全財産』の1/4」の「全財産」は、亡くなった方の亡くなった時における財産だけではなく、生前に贈与により移転していた財産も含めて(加算して)計算します。

この場合、民法改正により、相続人以外の方に対する贈与については相続開始前1年以内のモノ、相続人の方に対する贈与については相続開始前10年以内のモノだけが加算されることとなりました。

ですから、相続人であるあなたが、亡くなった方から11年前に贈与により取得した財産については、上記の「全財産」に含めなくてよくなったので、完全に自分のモノです。

それに対し、あなたが亡くなった方から5年前に贈与により取得した財産がある場合には、それを「全財産」に含めて遺留分を計算しますので、あなたが遺言により全財産を相続しているときは、亡くなった時点の財産に加え、その5年前の贈与財産も含めた上で、1/4をもう一人の相続人に渡さなければならない、ということになります。

この「遺留分」の話は、遺言がある場合だけの話です。

遺言がないと、10年を超えた贈与だから自分のモノになる、ということはなく、相続開始前10年超の贈与財産も含めた上で遺産分けをすることになる、ということです。

想う相続税理士

遺言があるかどうかで、遺産分けの対象となる財産が変わりますので、ご注意を。