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借地権の認定課税を避けるための届出書が土地の評価に与える影響とは?

相続税専門税理士の富山です。

今回は、相続した土地に対して、「土地の無償返還に関する届出書」が税務署に提出されている場合の取扱いについて、お話します。

土地は貸したらなかなか返ってこない!

国税庁ホームページ
タックスアンサー
No.5730 権利金の認定課税について
法人が所有する土地を他人に賃貸し、建物などを建てさせたときには、借地権が設定されたことになります。
この場合、通常、権利金を収受する慣行があるにもかかわらず権利金を収受しないときは、権利金の認定課税が行われます

これは、国税庁ホームページの法人税に関する記述です。

土地の貸し借りをする際、貸す側は、いったん土地を貸すと、借地借家法により借主が守られるため、その土地をなかなか返してもらえません。

つまり、借りる側には非常に強い権利が発生します。

これを「借地権」と言います。

貸す側は、その権利を相手に渡すワケですから、その対価をもらわなくちゃやってられません。

それが、土地の貸し借りをする際に支払われる「権利金」です。

借地権の認定課税とは?

権利金を支払わなくても、借地権は発生します。

法人が個人の地主さんから土地を借りる際、本来ならば1,000万円の権利金を支払わなければならないのに、地主さんのご好意により払わなかったとします。

すると、法人は1,000万円分トクします(借地権を取得しているのに、お金を払わなくて済んでいるので)。

法人がそのトクを申告していないのを税務署が見つけると、そのトクに対する課税(申告)を指摘します。

これが、「借地権の認定課税」です。

借地権の認定課税を避けるためには?

その法人が、「1,000万円なんて払えないけど、その土地は借りたい!」という場合、何か方法はあるのでしょうか?

あります。

ただし、次のいずれかに該当する場合には、権利金の認定課税は行われません。
(1) その土地の価額からみて、相当の地代を収受している場合
(2) その借地権の設定等に係る契約書において、将来借地人がその土地を無償で返還することが定められており、かつ、「土地の無償返還に関する届出書」を借地人と連名で遅滞なくその法人の納税地を所轄する税務署長に提出している場合

上記は、先ほどのタックスアンサーの続きですが、権利金を支払わない代わりに、その分だけ地代を多く払うか、「土地の無償返還に関する届出書」を提出すれば、税務署は文句を言わないのです。

想う相続税理士

土地の無償返還に関する届出書を提出した場合には、その名前のとおり、土地を返す場合には、タダ(無償)で返還することになります。

土地の無償返還に関する届出書が出ていると・・・

国税庁ホームページ(一部省略)
相当の地代を支払っている場合等の借地権等についての相続税及び贈与税の取扱いについて
(「土地の無償返還に関する届出書」が提出されている場合の貸宅地の評価)
8 借地権が設定されている土地について、無償返還届出書が提出されている場合の当該土地に係る貸宅地の価額は、当該土地の自用地としての価額の100分の80に相当する金額によって評価する。
(注) 使用貸借に係る土地について無償返還届出書が提出されている場合の当該土地に係る貸宅地の価額は、当該土地の自用地としての価額によって評価するのであるから留意する。

上記は、「相当地代通達」と呼ばれるモノですが、「100分の80に相当する金額によって評価」とある通り、地主さんの相続税申告における土地の評価においては、20%分だけ借地権を控除できる、ということになります。

土地の無償返還に関する届出書が提出されていれば、土地の貸し借りは適当にやってもいい、というワケではありません。

この届出書の提出により、権利金の授受がないことについては問題なしとされた場合でも、地代が安い場合には、「地代の認定課税」が行われる場合がありますので、ご注意を。

想う相続税理士秘書

想う相続税理士

相続税の申告においては、過去にこの届出書が提出されていないか確認し、誤った評価をしないように、ご注意を。