【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

贈与は書面が無くても本当に大丈夫なのか?

相続税専門税理士の富山です。

今回は、贈与契約書が無くても大丈夫かどうか、ということについて、お話します。


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贈与は意思表示のみで成立するっていうことになっている

民法(一部抜粋)
(贈与)
第五百四十九条 贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。

贈与は「諾成契約(だくせいけいやく)」であると言われる

当事者の合意の意思表示のみにより成立する契約という意味

契約は法律行為の一つであり、契約の成立により権利と義務が生じる

贈与契約により、贈与者には、その贈与の目的物を相手(受贈者)に引き渡す義務が生じる

贈与は、無償による財産権移転型契約である

書面(贈与契約書)が無くても贈与は成立するってことになっている

民法(一部抜粋加工)
(契約の成立と方式)
第五百二十二条 契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する。
2 契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない

上記にあるとおり、書面がなくても贈与は成立する、それなら書面がなくても問題ないのか

贈与は当事者間だけの問題ではない

対象が資産性のある財産であるため、そこに税金(税務)が絡んでくる

税務調査などで指摘・質問されたときに、贈与が成立していることと説明できるかが問題

通常、贈与は親族間で行われることが多い

もっと言うと、推定相続人(相続があった場合に相続人となる方)に対する贈与が多い

さらに言うと、その贈与の趣旨が相続税対策であることが多い

生前贈与は相続税対策の王道

税務署に突っ込まれる時は劣勢

しっかり贈与されていれば問題ないが、税務署は、相続があった場合に、過去の財産の移動について、それが贈与として成立しているかどうかに関心がある

生前に、亡くなった方から相続人の方に無償による財産の移転があったという認識があっても、それが贈与としての要件を満たしていなければ、その財産の所有権は移転しておらず、その財産は亡くなった方のモノ、つまり、相続財産として相続税が課税されることになる

上記でお話したように、贈与は諾成契約であり、当事者の合意の意思表示のみにより成立するが、税務署が来るのは(税務署に質問されたり指摘されるのは)、これまた上記でお話したように、相続が発生した後

つまり、当事者の片方がもうこの世にいない

亡くなった方に意思表示の有無を直接確認できない

つまり、納税者側が劣勢

劣勢を挽回するための努力と工夫が必要

想う相続税理士

「第三者との間なら契約書を作るのも分かるけど、親子間で贈与契約書を作るなんて、感覚的にはあり得ない。だって親子だよ、裏切ったりしないでしょ!」と思われるかもしれませんが、贈与は相続税を回避するためにやっていると見られやすく、そうなると、税務署の目も厳しくなる、その上、税務署が来る時には当事者の片方がいない、という点にご注意を。