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未成年者に対する親権者の代理がない贈与が有効か民法から考える

想う相続税理士、富山です。

今回は、未成年者に対する贈与の有効性について、お話します。

なぜ親権者などの法定代理人の話が出てくるのか?

お一人で完全に法律行為をすることができない方が、契約などの法律行為をした場合、分からないままに損害を受けてしまう可能性があります。

そこで、そのような方を保護するための法律上の「決まり」があります。

まず、民法は人の「能力」について、次のように区別し、取扱いを定めています。

民法
第二章 人
第一節 権利能力
第三条 私権の享有は、出生に始まる。
2 外国人は、法令又は条約の規定により禁止される場合を除き、私権を享有する。
第二節 意思能力
第三条の二 法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする。
第三節 行為能力
(成年)
第四条 年齢十八歳をもって、成年とする。
(未成年者の法律行為)
第五条 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
2 前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。(以下省略)

権利能力

生まれれば(「出生に始まる」)、権利能力があるワケですから、未成年者の方にも、権利能力はあります。

モノを所有する権利がある、ということです。

未成年者だから、贈与によりモノが所有できない、ということはありません。

意思能力

贈与は、「あげる人」「もらう人」双方の「あげますよ」「もらいますよ」という意思の合致がないと成立しません。

つまり、両者に意思能力(きちんと意思を表示する能力)がないと、贈与は成立しません。

例えば、生まれたばかりの赤ちゃんは、「もらいます」という意思を表示することができません。

このような場合には、法定代理人の代理が必要となります。

民法
(財産の管理及び代表)
第八百二十四条 親権を行う者は、子の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為についてその子を代表する。ただし、その子の行為を目的とする債務を生ずべき場合には、本人の同意を得なければならない。

(参考)
民法
(財産の管理及び代表)
第八百五十九条 後見人は、被後見人の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為について被後見人を代表する。
2 第八百二十四条ただし書の規定は、前項の場合について準用する。

しかし、ある程度の年齢になっていれば、「もらいます」という意思表示がきちんとできるハズです。

贈与を受ける未成年者に意思能力があれば、親権者の代理は不要です。

想う相続税理士秘書

行為能力

行為能力とは、単独で法律行為をすることができる能力です。

意思能力のところのお話で、「赤ちゃんは意思能力がないというのは分かったけれども、じゃあ何才からならあるの?」と思われた方もいらっしゃると思います。

贈与契約の相手方としても、相手に意思能力があるかどうかというのは、判断が難しい、という側面があります。

そこで、画一的に、未成年者かどうかで線引きし、未成年者については、法定代理人の同意が必要、とされています。

同意のない法律行為は、取り消すことが「できる」とありますが、取り消せるのは、未成年者本人や法定代理人であって、誰でも取り消すことができるワケではありません。

また、「単に権利を得、又は義務を免れる法律行為」については、対象外とされています。

さらに、贈与は、片務契約です。

「あげる人」は財産を渡す義務を負いますが、「もらう人」は特に義務を負いません。

想う相続税理士

民法上、「意思能力」の有無についての基準は明確にされていません。

また、贈与時に「意思能力」があったかどうか、ないとしたら、法定代理人の代理があったということを後から証明するのが困難な場合もあります(法定代理人の同意も同様)。

そのようなこと考慮すると、きちんとした贈与契約書があった方がいい、という結論になります。