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一般的な相続税の試算の落とし穴

相続税専門税理士の富山です。

今回は、債務が多い場合の相続税の計算の注意点について、お話します。

相続税はタダで計算できる?

ネットで検索すると、相続税の試算をしてくれるサイトがたくさん出てきます。

財産の金額と、配偶者の有無、法定相続人の数などを入力すると、大体の相続税の金額を計算してくれる、というモノです。

この場合の「財産の金額」については、「正味の財産の金額」とか「遺産に係る基礎控除額を控除する前の金額」というような指示が書かれていたりします。

ご承知のとおり、相続税は、土地や預貯金などのプラスの財産のみで計算するのではなく、債務や葬式費用というマイナスの財産を控除(「債務控除」と言います)したり、一定の生前の贈与財産を加算したりして計算します。

つまり、「プラスの財産だけではなく、債務控除や贈与財産も加味して金額を入力してね」と言っている、ということです。

しかし、この指示書きの意味は、単純に加味すればいい、と言っているワケではありません。

相続税は財産の合計で正しく計算できる?

ネットの相続税の試算サイトで計算して、「相続税=ゼロ」という結果が出たのに、実際の相続税申告では、相続税が出た、なんてことが起こり得ます。

上記の「財産の金額」というのは、相続財産の合計額ですが、単純な合計額ベースで計算すると、相続税がかかる・かからないの判断を誤ってしまう場合があるのです。

亡くなった方の財産が次のような内訳だった場合、相続税はどうなるでしょうか?

賃貸不動産:2,000万円
預貯金:5,000万円
銀行借入金:7,000万円

ネットの相続税の試算サイトの「財産の金額」欄に入力する金額は、
2,000万円+5,000万円△7,000万円=0円
となるのでしょうか?

そうだとすると、ゼロですから、入力すらしないかもしれません。

ゼロで正解の場合もあります。

想う相続税理士秘書

この相続に係る相続人が、長男・次男の2人だとします。

銀行借入金は、亡くなった方が賃貸不動産を購入した際に発生したモノなので、長男が賃貸不動産を相続するとともに、セットで銀行借入金を引き継ぐ、そして、預貯金は次男が相続する、という遺産分けになったとします。

この場合、相続税が80万円かかります。

財産の取得者ごとのマイナスはゼロとして計算する

上記のケースの場合、相続税の計算において、各相続人が取得した財産は、

長男:2,000万円△7,000万円=△5,000万円
次男:5,000万円
と計算するのではなく、
長男:2,000万円△7,000万円=△5,000万円<0円 ∴0円
次男:5,000万円
と計算します。

ですから、「財産の金額」(相続財産の合計額)は、0円+5,000万円=5,000万円です。

想う相続税理士

借入金などの債務が多い場合には、ご注意を。

相続税の節税のために建築したアパートなどがある場合、このようなケースに該当しやすくなります。