【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

都心の不動産を購入した場合の小規模宅地等の特例

相続税専門税理士の富山です。

今回は、地方にお住まいの方が都心に不動産を購入した場合の小規模宅地等の特例の適用について、お話します。

不動産を購入することによる相続税の節税メリットについては触れていません。

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持ち家か賃貸かで特例の適用可否が変わる

推定被相続人(相続の発生が予想される方)が財産を多くお持ちで、地方にご自宅を所有し、お一人で住んでいらっしゃるとします(配偶者の方は既にお亡くなりになっているとします)。

この地方のご自宅の敷地を、都心に住んでいるお子さんが相続した場合について考えてみます。

そのお子さんのご自宅が持ち家ではなく賃貸の場合には、小規模宅地等の特例(「特定居住用宅地等」「330㎡まで8割引き申告」)を適用することができる可能性があります(「家なき子特例」)。

お子さんのご自宅が持ち家(お子さんの配偶者が所有している場合等も含みます)の場合には、小規模宅地等の特例は適用できません。

相続開始時に持ち家ではなくても、3年以内に持ち家に住んでいた場合も適用できません。

相続開始時に持ち家ではなくても、その賃貸物件を過去に所有していたことがある場合にも適用できません。

租税特別措置法(一部抜粋加工)
第69条の4 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例
二 特定居住用宅地等
ロ 当該親族(当該被相続人の居住の用に供されていた宅地等を取得した者であつて財務省令で定めるものに限る。)が次に掲げる要件の全てを満たすこと(当該被相続人の配偶者又は相続開始の直前において当該被相続人の居住の用に供されていた家屋に居住していた親族で政令で定める者がいない場合に限る。)。
(1) 相続開始前3年以内に相続税法の施行地内にある当該親族、当該親族の配偶者、当該親族の三親等内の親族又は当該親族と特別の関係がある法人として政令で定める法人が所有する家屋(相続開始の直前において当該被相続人の居住の用に供されていた家屋を除く。)に居住したことがないこと
(2) 当該被相続人の相続開始時に当該親族が居住している家屋を相続開始前のいずれの時においても所有していたことがないこと
(3) 相続開始時から申告期限まで引き続き当該宅地等を有していること。

地価の高い都心に引っ越したらどうなる?

(お子さんの近くに住む安心も考えて)推定被相続人が都心に家を買い替えるとします。

この場合、小規模宅地等の特例の適用による節税効果が高くなる場合があります。

なぜなら、小規模宅地等の特例は、面積の制限はあるものの、金額(評価額)の制限がないからです。

同じ330㎡まで適用できるのであれば、土地の単価が安い地方よりも、土地の単価が高い都心の方が効果が高くなるのです。

地方
路線価5万円×900㎡=4,500万円
都心
路線価50万円×90㎡=4,500万円
の場合、小規模宅地等の特例を適用した後の申告額は、
地方
4,500万円△4,500万円×330㎡/900㎡×80%=3,180万円(△1,320万円)
都心
4,500万円△4,500万円×90㎡/90㎡×80%=900万円(△3,600万円)
となります。

タワマンだともっと節税効果が高い?

上記よりもさらに都心の路線価150万円の地域のタワマンだったらどうなるでしょうか?

路線価150万円×3,500㎡×敷地権割合3/1,000=1,575万円
1,575万円△1,575万円×10.5㎡/10.5㎡×80%=315万円(△1,260万円)
(タワマン通達・地積規模の大きな宅地の評価の適用はないものと仮定)

単価が高くても、適用できる計算上の面積が小さいと、節税効果が小さくなる可能性があります。

デュアルライフの場合はどうなる?

地方のご自宅を売却せず、地方にも都心にも住まいがあるという場合、単価が高いからという理由で都心の住まいについて小規模宅地等の特例を適用していいかというと、そんなことはありません。

どちらが「生活の拠点」かということを、実態に基づいてきちんと判断して申告する必要があります。

賃貸物件に対する小規模宅地等の特例もある

都心に不動産を購入し、推定被相続人や親族が住むのではなく、賃貸に回す、という場合には、小規模宅地等の特例の「貸付事業用宅地等」の要件に該当すれば、200㎡まで50%引きで申告することができます。

ただし、3年縛り規制がありますので、ご注意を。

租税特別措置法(一部抜粋加工)
第69条の4 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例
四 貸付事業用宅地等 被相続人等の事業(不動産貸付業その他政令で定めるものに限る。以下この号において「貸付事業」という。)の用に供されていた宅地等で、次に掲げる要件のいずれかを満たす当該被相続人の親族が相続又は遺贈により取得したもの(特定同族会社事業用宅地等及び相続開始前3年以内に新たに貸付事業の用に供された宅地等(相続開始の日まで3年を超えて引き続き政令で定める貸付事業を行つていた被相続人等の当該貸付事業の用に供されたものを除く。)を除き、政令で定める部分に限る。)をいう。

想う相続税理士

同居することにより、小規模宅地等の特例の適用を受けられる場合もあります。