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小規模宅地等の特例のポイントとなる「生計一」とは?

相続税専門税理士の富山です。

今回は、小規模宅地等の特例の適用要件となる「生計を一にしていた」について、お話します。

相続税の規定にちゃんと書かれていないけど大事な要件

よくある親の自宅敷地に子供の家が建っている場合の小規模宅地等の特例

上記の記事で、隣に住むご長男さんが亡くなった方と「生計一」かどうかで小規模宅地等の特例の適用が受けられるかどうかが決まる、というお話をしました。

小規模宅地等の特例の条文は、次のような言葉で始まります。

租税特別措置法
第69条の4小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例
個人が相続又は遺贈により取得した財産のうちに、当該相続の開始の直前において、当該相続若しくは遺贈に係る被相続人又は当該被相続人と生計を一にしていた当該被相続人の親族~

上記の「生計を一にしていた」の定義は、この租税特別措置法にも、相続税法にも書かれていません。

では、「生計を一にしていた」かどうかは、どう判断するのでしょうか?

所得税の考え方を借用する

所得税に関する通達で「生計を一にする」を定義している部分があり、小規模宅地等の特例の適用においても、これを基準として判断する、という考え方が実務では一般的になっています。

所得税基本通達
2-47生計を一にするの意義
法に規定する「生計を一にする」とは、必ずしも同一の家屋に起居していることをいうものではないから、次のような場合には、それぞれ次による。
(1) 勤務、修学、療養等の都合上他の親族と日常の起居を共にしていない親族がいる場合であっても、次に掲げる場合に該当するときは、これらの親族は生計を一にするものとする。
イ 当該他の親族と日常の起居を共にしていない親族が、勤務、修学等の余暇には当該他の親族のもとで起居を共にすることを常例としている場合
ロ これらの親族間において、常に生活費、学資金、療養費等の送金が行われている場合
(2) 親族が同一の家屋に起居している場合には、明らかに互いに独立した生活を営んでいると認められる場合を除き、これらの親族は生計を一にするものとする。

具体的にはどのように判断するか

(2)からは「同居していれば、ほとんどの場合は生計一だ」と読み取ることができる

(1)ロに「常に生活費、学資金、療養費等の送金」とあるが、「生計一」「お財布が一緒」とザックリ定義されることがある(「日常生活の糧を共通にしている」という言い方をする場合もある)

生活に関して必要なお金をちょっとでも出してあげれば、お財布が一緒、ということになるワケではない

(1)ロに、「互いに独立した生活」とあるが、独立して生活するためには、収入や貯蓄が必要、収入の有無や預貯金の多寡、社会保険の加入状況(扶養親族に該当するか)などは検討材料になり得る

互いに独立していないということは、生活費が混ざっているということ

想う相続税理士

「生計一」の要件で小規模宅地等の特例の適用を受ける場合には、税務調査などで生計一であったことが(口頭で生計一だった、と主張するだけでなく)きちんと説明できるようにしておきましょう!