【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

「配偶者の税額軽減」を知らずに相続税の申告をしてしまったら?

相続税専門税理士の富山です。

今回は、後から配偶者の税額軽減を適用できるか?ということについて、お話します。


相続税専門税理士に任せてスッキリ!
相続税専門税理士が直接対応
事前予約で土日祝日夜間対応可能
明確な料金体系+スピード対応
大手生命保険会社様で相続税・贈与税に関するセミナー講師の実績有(最近の実績:令和5年11月・令和5年12月・令和6年2月)

または はこちらから


配偶者は亡くなった方の財産形成の最大の貢献者

相続財産が多いと、その分、相続税が多く課税されますが、その財産を築き上げ、守ることができたのは、配偶者の方の協力もあったハズです。

配偶者の方は、亡くなった方の財産形成上の最大の貢献者です。

そこで、配偶者の方が相続で取得した財産については、

  1. 財産のうち配偶者の法定相続分(お子さんがいる場合には1/2)相当額
  2. 1億6,000万円
のいずれか「多い」金額まで相続税が無税になります。

「最低でも1億6,000万円」の非課税枠がある、ということです。

この特例を「配偶者の税額軽減」と言います。

配偶者の税額軽減を適用せずに申告をしたらもう適用できない?

「配偶者が相続で取得した財産には大きな非課税枠がある(からほとんどの場合は相続税がかからない)」というのは、ご存知の方も多いかもしれませんが、ご存知ない方もいらっしゃるかもしれません。

相続税の申告を税理士に依頼した場合には、間違いなく配偶者の税額軽減を適用した相続税の申告をしてくれるハズですが、そのご存知ない方がご自分で相続税の申告をした場合、配偶者の税額軽減を適用せずに相続税の申告をしてしまう可能性があります。

このような場合、相続税を多く納めることになってしまいますが、申告をやり直すことはできるのでしょうか?

相続税法(一部抜粋加工)
第19条の2 配偶者に対する相続税額の軽減
3 第1項の規定は、第27条の規定による申告書(当該申告書に係る期限後申告書及びこれらの申告書に係る修正申告書を含む。第5項において同じ。)又は国税通則法第23条第3項(更正の請求)に規定する更正請求書に、第1項の規定の適用を受ける旨及び同項各号に掲げる金額の計算に関する明細の記載をした書類その他の財務省令で定める書類の添付がある場合に限り、適用する。

上記の「更正の請求」は、「既に行った申告について、税額等が過大であった場合に減額更正を求める場合の手続」のことです。

つまり、配偶者の税額軽減は、更正の請求でも適用できますので、一度、配偶者の税額軽減を適用せずに相続税の申告をしてしまった後でも、この更正の請求をすれば、配偶者の税額軽減の適用を受けることができます(配偶者の税額軽減を適用しなかったことにより、多く納めた相続税が還付されます)。

更正の請求には期限がある

上記の更正の請求は、法定申告期限から5年以内にしかできません(特殊な事情がある場合には、5年経過後でも認められる場合があり、また、もっと期限が短くなる場合もあります)。

相続税の申告・納付を済ませてホッとして、そのまま時が経過してしまうと、適用のチャンスを逃してしまう可能性がありますので、ご注意を。

上記の条文を抜粋すると、「申告書又は更正請求書に、第1項の規定の適用を受ける旨及び同項各号に掲げる金額の計算に関する明細の記載をした書類その他の財務省令で定める書類の添付がある場合に限り、適用する」となります。

つまり、税務署による更正・決定があった場合には、適用できない、ということになりますので、ご注意を。

想う相続税理士秘書

想う相続税理士

ネットで検索すると、当初申告で配偶者の税額軽減を失念した場合には、更正の請求をしても適用できない、という記述がありますが、平成23年度の税制改正において「当初申告要件の廃止措置」が取られ、その中に配偶者の税額軽減も含まれていることから、当初申告で適用を失念した場合でも、適用できるモノと思われます。
参考 当初申告要件が廃止された措置国税庁HP