【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

相次相続控除は貯めて使えない!

相続税専門税理士の富山です。

今回は、相次相続控除の適用範囲となる相続税について、お話します。


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相続で財産を引き継ぐ度(たび)に相続税が何度もかかる

相続があった場合、遺言により第三者に財産を渡すこともできますが、一般的には、子などの親族(相続人)が財産を代々引き継いでいくことが多いかと思います。

Aさんが亡くなり、その財産をAさんの子のBさんが相続し相続税を納める、Bさんが亡くなったら、その財産をBさんの子のCさんが相続し相続税を納める、Cさんが亡くなったら、その財産をCさんの子のDさんが相続し相続税を納める、という流れになります。

相次相続控除とは?

「財産を相続したら相続税を納めるのは当たり前でしょ」と思われるかもしれませんが、この相続が短期間に発生したらどうなるでしょうか?

相続税を払ったばかりの財産に、さらに相続税が課税される、という結果になったら、かなりの重税感がありますよね。

そこで、このような場合には、後からまた相続税を払う際、前に払った相続税の一部に相当する金額を考慮して値引きしてもらえるのです。

例えば、その財産について過去に課税された相続税のうち400万円相当分を値引きしてもらえることになれば、本来払う相続税が1,000万円だとした場合、
1,000万円-400万円=600万円
を納付すればよくなります。

これを「相次相続控除」と言います。

どの相続税まで値引き考慮の対象になる?

この相次相続控除については、国税庁のタックスアンサーに次のように書かれています。

国税庁HP(一部抜粋)
No.4168 相次相続控除
概要
今回の相続開始前10年以内に被相続人が相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得し相続税が課されていた場合には、その被相続人から相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得した人の相続税額から、一定の金額を控除します。
今回の相続開始前10年以内に被相続人が相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得し相続税が課されていた場合には、その被相続人から相続、遺贈や相続時精算課税に係る贈与によって財産を取得した人の相続税額から、一定の金額を控除します。

「『10年以内』と書いてあるから、10年以内に払った相続税なら値引き考慮の対象?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、そうではありません。

10年以内の相続というのも要件の1つではありますが、直前の相続の分しか値引きの対象にはなりません。

最初に

Aさん→Bさん→Cさん→Dさん
と相続があったら、というお話をしました。

Aさん・Bさん・Cさんの相続が10年以内に起こったとします。

今回、Cさんが亡くなって、Dさんが相続税を相続税の申告をする際、過去に
「Bさんの相続の際にCさんが払った相続税」
は値引き考慮の対象になりますが、
「Aさんの相続の際にBさんが払った相続税」
は値引き考慮の対象にはなりません。

Bさんの相続の際に相続税が出なかったために
「Aさんの相続の際にBさんが払った相続税」
を値引きに使えなかったからといって、Cさんの相続でDさんが使えるかというと、使えない、ということです。

相続税法基本通達
20-4 第2次相続に係る被相続人の範囲
法第20条の規定は、第2次相続に係る被相続人がその相続の開始前10年以内に開始した相続(被相続人からの相続人に対する遺贈を含む。)によって取得した財産(当該相続に係る被相続人からの贈与により取得した財産で相続時精算課税の適用を受けるものを含む。)につき課せられた相続税額について適用があるのであって、第2次相続に係る被相続人の被相続人が納付した相続税額については適用がないのであるから留意する。

想う相続税理士

10年以内に同じ財産に課税された相続税なら全部値引きの対象になる、という訳ではありませんので、ご注意を。