【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

相続税の税負担率は税率表をパッと見ただけでは分からない

相続税専門税理士の富山です。

今回は、相続税の税負担率について、お話します。

暦年課税による生前贈与が節税になるのはなぜ?

想う相続税理士

こちらの記事もご覧ください。
生前贈与をする場合の暦年課税の活用方法 生前贈与をする場合の暦年課税の注意点

相続時精算課税による贈与は、来年から創設される基礎控除額部分を除き、その贈与した財産の金額が相続税の課税対象に「必ず」なります。

「相続」「時」に相続税が課税されて「課税」「精算」される制度だからです。

それに対して、暦年課税による贈与の場合、上記の記事でもお話した「生前贈与加算」の対象とならなければ、相続税はかかりません。

相続税がかからないから節税になるのかと言うと、そういうワケではなく、贈与ですから「贈与税」が課税されます。

その贈与税が本来課税される相続税よりも少なければ、もっと言うと、相続税の税負担率よりも低い贈与税の税負担率で財産を移転(贈与)することができれば、相続税の節税が可能となります。

相続は一発モノですが、贈与(暦年課税贈与)は、その金額や回数を操作することで、税負担率を変えることができるのです。

想う相続税理士秘書

相続税の税負担率についてのよくある勘違い

ネットで「相続税の税率」と検索すると、次のような速算表が出てくると思います。

法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
1,000万円超から3,000万円以下 15% 50万円
3,000万円超から5,000万円以下 20% 200万円
5,000万円超から1億円以下 30% 700万円
1億円超から2億円以下 40% 1,700万円
2億円超から3億円以下 45% 2,700万円
3億円超から6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

例えば財産が1億5,000万円の場合、上記の「1億円超から2億円以下」のところを見て、相続税を

1億5,000万円×40%△1,700万円=4,300万円

と計算するのは間違いです。

相続人が長男・次男の2人である場合、遺産に係る基礎控除額(相続税の非課税枠)が
3,000万円+600万円×2人=4,200万円
なので、

1億5,000万円△4,200万円=1億800万円
1億800万円×40%△1,700万円=2,620万円

と計算するのも間違いです。

課税部分を法定相続分で取得したモノとした後に計算

上記の1億800万円(非課税枠を控除した後の「課税部分」)を長男と次男が法定相続分(それぞれ1/2)で取得したモノと仮定します。

長男:1億800万円×1/2=5,400万円
次男:1億800万円×1/2=5,400万円

この金額に対して速算表を当てはめます。

長男:5,400万円×30%△700万円=920万円
次男:5,400万円×30%△700万円=920万円

この合計額(920万円+920万円=1,840万円)が「相続税の総額」(全体の相続税の金額)です。

1億5,000万円の財産に対して1,840万円の相続税がかかるワケですから、相続税の税負担率は、
1,840万円/1億5,000万円=約12.3%
となります。

この税負担率よりも低い贈与税の税負担率で贈与をすれば、相続税の節税が可能となります。

想う相続税理士

長男・次男が最終的に納める相続税の金額は、実際に財産を取得した割合で、この相続税の総額を按分して計算します(未成年者控除等の適用があれば按分後に加味します)。

実際の財産の取得割合が
長男:60%
次男:40%

であれば、

長男:1,840万円×60%=1,104万円
次男:1,840万円×40%=736万円

となります。