【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

相続時精算課税制度に創設される基礎控除額はなぜオイシイ?

相続税専門税理士の富山です。

今回は、来年から改正される相続時精算課税制度において、新たに創設される「基礎控除額」のポイントについて、お話します。

下記の記事もご覧ください。

想う相続税理士秘書

改正前(現時点)の相続時精算課税制度の要件と贈与税の計算方法 改正前(現時点)の相続時精算課税適用財産の相続時の取扱い 改正前(現時点)の相続時精算課税と債務控除・3年以内贈与加算・贈与税還付の関係 相続時精算課税制度に創設される基礎控除額の規定ぶり

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改正前(令和5年までの贈与)の贈与税課税パターン

暦年課税+暦年課税の場合

R5中に長男Cが暦年課税で父Aから現金600万円・母Bから現金500万円の贈与を受けた場合には、
600万円+500万円△基礎控除額110万円=990万円(暦年課税)
をベースに贈与税を計算します。

想う相続税理士

600万円△110万円
500万円△110万円

と計算するワケではありません。

ザックリ言うと、受贈者1人につき110万円です。

相続時精算課税+相続時精算課税の場合

R5中に長男Cが相続時精算課税で父Aから現金6,000万円・母Bから現金5,000万円の贈与を受けた場合には、
6,000万円△特別控除額2,500万円=3,500万円(相続時精算課税)
5,000万円△特別控除額2,500万円=2,500万円(相続時精算課税)

をベースに贈与税を計算します。

相続時精算課税+暦年課税の場合

R5中に長男Cが相続時精算課税で父Aから現金6,000万円・暦年課税で母Bから現金500万円の贈与を受けた場合には、
6,000万円△特別控除額2,500万円=3,500万円(相続時精算課税)
500万円△基礎控除額110万円=390万円(暦年課税)

をベースに贈与税を計算します。

改正後(令和6年からの贈与)の贈与税課税パターン

暦年課税+暦年課税の場合

R5中に長男Cが暦年課税で父Aから現金600万円・母Bから現金500万円の贈与を受けた場合には、
600万円+500万円△基礎控除額110万円=990万円(暦年課税)
をベースに贈与税を計算します。

これは改正後でも変わりません。

相続時精算課税+相続時精算課税の場合

R5中に長男Cが相続時精算課税で父Aから現金6,000万円・母Bから現金5,000万円の贈与を受けた場合には、
6,000万円△基礎控除額60万円△特別控除額2,500万円=3,440万円(相続時精算課税)
5,000万円△基礎控除額50万円△特別控除額2,500万円=2,450万円(相続時精算課税)

をベースに贈与税を計算します。

改正により、相続時精算課税による贈与にも、暦年課税と同じように110万円の基礎控除額が創設されました。

上記で基礎控除額を60万円と50万円に分けて適用していますが、贈与者が2人以上いる場合には、その贈与の金額で基礎控除額を按分して適用することになります。

相続税法施行令(令和6年1月1日施行部分・一部抜粋加工)
第5条の2 特定贈与者が二人以上ある場合における特定贈与者ごとの贈与税の課税価格から控除する金額の計算
法第21条の9第5項に規定する相続時精算課税適用者(以下「相続時精算課税適用者」という。)がその年中において二人以上の同項に規定する特定贈与者(以下「特定贈与者」という。)からの贈与により財産を取得した場合には、法第21条の11の2第1項の規定により控除する金額は、特定贈与者の異なるごとに、60万円に、特定贈与者ごとの贈与税の課税価格が当該課税価格の合計額のうちに占める割合を乗じて計算するものとする。

下記の記事でもお話したとおり、上記の60万円は、実際には110万円になります。

想う相続税理士秘書

相続時精算課税制度に創設される基礎控除額の規定ぶり

相続時精算課税+暦年課税の場合

R5中に長男Cが相続時精算課税で父Aから現金6,000万円・暦年課税で母Bから現金500万円の贈与を受けた場合には、
6,000万円△基礎控除額110万円△特別控除額2,500万円=3,390万円(相続時精算課税)
500万円△基礎控除額110万円=390万円(暦年課税)

をベースに贈与税を計算します。

相続時精算課税制度に創設された基礎控除額のオイシイところ

適用可能基礎控除額の増大

上記「改正後(令和6年からの贈与)の贈与税課税パターン」「相続時精算課税+暦年課税の場合」を見ていただくとお分かりのとおり、相続時精算課税と暦年課税を併用すると、
相続時精算課税110万円+暦年贈与110万円=計220万円の基礎控除額
が適用できます。

併用することにより、従来よりも贈与税がかからない金額が110万円増額されます。

相続税も贈与税もかからない基礎控除額

「相続時精算課税に係る特別控除額(2,500万円)」を適用すると、その部分には贈与税は課税されませんが、相続税は課税されます。

「暦年贈与に係る基礎控除額(110万円)」を適用すると、その部分には贈与税は課税されませんが、その受贈者が贈与者の相続で財産を取得し、その暦年贈与が相続開始前3年以内贈与に該当すると、相続税が課税されます。

「相続時精算課税に係る基礎控除額(110万円)」を適用すると、その部分には贈与税は課税されず、相続税も課税されません。

つまり、その増額された部分は、従来からあった暦年課税に係る基礎控除額よりも魅力的なのです。

相続税法(令和6年1月1日施行部分・一部抜粋加工)
第21条の15
特定贈与者から相続又は遺贈により財産を取得した相続時精算課税適用者については、当該特定贈与者からの贈与により取得した財産で第21条の9第3項の規定の適用を受けるものの価額から第21条の11の2(相続時精算課税に係る贈与税の基礎控除)第1項の規定による控除をした残額を相続税の課税価格に加算した価額をもつて、相続税の課税価格とする

相続税法(令和6年1月1日施行部分・一部抜粋加工)
第21条の16
3 第1項の規定により特定贈与者から相続又は遺贈により取得したものとみなされた財産に係る第1節の規定の適用については、次に定めるところによる。
一 当該財産の価額は、第1項の贈与の時における価額とする。
二 当該財産の価額から第21条の11の2(相続時精算課税に係る贈与税の基礎控除)第1項の規定による控除をした残額を第11条の2の相続税の課税価格に算入する

基礎控除内なら申告不要(届出は必要)

従来は、相続時精算課税による贈与を1円でもした場合、贈与税の申告が必要でした。

しかし、相続時精算課税に基礎控除額が創設されたため、相続時精算課税による贈与が110万円以下の場合には、贈与税の申告が不要となりました。

相続税法(令和6年1月1日施行部分・一部抜粋加工)
第28条 贈与税の申告書
贈与により財産を取得した者は、その年分の贈与税の課税価格に係る第21条の5、第21条の7及び第21条の8の規定による贈与税額がある場合、又は当該財産が第21条の9第3項の規定の適用を受けるものである場合(第21条の11の2(相続時精算課税に係る贈与税の基礎控除)第1項の規定による控除後の贈与税の課税価格がある場合に限る。)には、その年の翌年2月1日から3月15日までに、課税価格、贈与税額その他財務省令で定める事項を記載した申告書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。

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