【毎日更新】相続税専門税理士ブログ

生命保険金に特有の性質をちゃんと理解して納得の申告を!

相続税専門税理士の富山です。

今回は、相続及び相続税申告における生命保険金に特有の性質について、お話します。


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生命保険金は相続税の課税対象?

相続があったら、何が相続財産になるのでしょうか?

民法では、次のように規定しています。

民法(一部抜粋)
(相続の一般的効力)
第八百九十六条 相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。

この民法上の財産を「本来の(相続または遺贈により取得した)(相続)財産」と言います。

生命保険金は、この中には含まれません。

つまり、生命保険金は、相続財産ではありません。

では、生命保険金には、相続税がかからないのでしょうか?

相続税法(一部抜粋加工)
第3条 相続又は遺贈により取得したものとみなす場合
次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該各号に掲げる者が、当該各号に掲げる財産を相続又は遺贈により取得したものとみなす。この場合において、その者が相続人であるときは当該財産を相続により取得したものとみなし、その者が相続人以外の者であるときは当該財産を遺贈により取得したものとみなす
一 被相続人の死亡により相続人その他の者が生命保険契約の保険金又は損害保険契約の保険金を取得した場合においては、当該保険金受取人について、当該保険金のうち被相続人が負担した保険料の金額の当該契約に係る保険料で被相続人の死亡の時までに払い込まれたものの全額に対する割合に相当する部分

相続税法において、相続財産とみなして(「みなし相続財産」と言います)、相続税の課税対象としています。

つまり、生命保険金は、民法上の相続財産ではないけれども、別途、相続税法で相続財産とみなして、相続税を課税することにしているのです。

生命保険金は遺産分割協議の対象?

生命保険金は、通常、指定された受取人に振り込まれます。

受け取った生命保険金は、その受取人が自由に使っていいのでしょうか?

出典:TAINS(Z999-6019)
最高裁昭和36年(オ)第1028号保険金請求事件(棄却)(確定)(一部抜粋加工)
保険金受取人としてその請求権発生当時の相続人たるべき個人を特に指定した場合には、右請求権は、保険契約の効力発生と同時に右相続人の固有財産となり、被保険者(兼保険契約者)の遺産より離脱しているものといわねばならない。然らば、他に特段の事情の認められない本件において、右と同様の見解の下に、本件保険金請求権が右相続人の固有財産に属し、その相続財産に属するものではない旨判示した原判決の判断は、正当としてこれを肯認し得る

被保険者の相続人を受取人に指定した保険契約の保険金請求権は、被保険者の死亡により相続人の固有財産となり、相続財産を構成しないことは判例の確定するところである(大判昭6.2.20評論20巻民法198頁、大判昭10.10.14評論24巻民法1030頁)

受け取った方の固有財産であるため、遺産とは別であり、相続財産を構成しない、としています。

つまり、受取人のモノですから、本来の相続財産のように、相続人間の遺産分割協議の対象とはなりません。

生命保険金は相続放棄をしても受け取れる?

上記でお話したとおり、生命保険金は、受取人の固有の財産です。

亡くなった方から相続で(相続または遺贈により)もらうモノではありません。

ですから、相続放棄をしても、民法上の相続財産ではない生命保険金は受取り可能です。

想う相続税理士

相続放棄をすると、その方は相続人ではなくなるため、相続税の申告において、生命保険金の非課税金額の適用を受けることができなくなります。

「相続放棄をしても生命保険金を受け取れるから、相続放棄しちゃおう」と考えると、相続税が高くなる場合がありますので、ご注意を。